石油ストーブといえばヤカン(ケトル)。当たり前すぎて記事にするのを忘れていました…
筆者は自宅用に3つ、キャンプ用に3つと…気付けばケトルだらけです。
自宅用とキャンプ用という括り付けをせずに一つのケトルで済ませたい。キャンプで使うなら焚火での使用に耐えられるケトルがいい
そこで今回はフジカハイペットを快適かつ便利にする為のアイテム第5弾【自宅でもキャンプでも使えるケトル】をご紹介します。
ケトルの素材や形状の特徴、利点や欠点を考察し、更にデザインにも優れたケトルを選びました。
※今回は使い勝手の良い適正容量1L~3L(2~6人)のケトルを中心にしました
もちろんアルパカやトヨトミなどのヤカンを乗せて温められる石油ストーブユーザーの方や焚火でガシガシ使いたい方もご一読して行って下さい。
お湯を早く沸かせるケトルの素材とは
自宅のコンロや焚火では余り気にならないのですが、石油ストーブの上(ストーブトップ)にケトルを置いてもなかのなか沸騰してくれません。
筆者はキャンプに行くと焚火でお湯を沸かすことが多いのですが、到着してすぐ焚火をするのも朝起きてすぐ火熾しするのも正直ダルいです。
石油ストーブでもシングルバーナーでも早くお湯を沸かすことができるケトルがあればそれに越した事はないですよね…
さて、そこでケトルの素材に着目してみます。
代表的なケトルの素材はアルミ製、ステンレス製、ホーロー製、銅製です。
これらの素材で全く同じサイズのケトルがあった場合、一番早くお湯が沸くのは銅製です。これは純金属の中で非常に熱伝導率が高い素材だからです。
今回紹介するケトルの素材でお湯が早く沸ける順番は 銅製>アルミ製>ホーロー製>ステンレス製になります。
特に石油ストーブはガスコンロ等と比べてケトルに伝える火力が弱いので、熱伝導率が高い素材が有利となります。つまり銅製かアルミ製ということですね。
銅製ケトル
先述した通り、銅製のケトルは熱がケトル全体に行き渡りお湯を早く沸かすことができます。
銅製のケトルは見た目も美しく、経年変化も楽しめ 置いておくだけでも様になります。
先ずは銅製のキャンプケトルで最も有名なファイアーサイド社のグランマーコッパーケトル
このケトルについては余計な説明は要りませんね。ただただカッコいい。
この(小)サイズは満水容量3.3Lですが、吹きこぼれを考慮すると2.3Lの水量が適量だそうです。
あぁ…カッコいい
続いては同じくファイアーサイド社のエニーケトル
エニーケトルは満水容量1.8Lで適正容量は1Lとやや小ぶりですが、グランマーコッパーケトルが両手でお湯を注ぐ作りなのに対してエニーケトルは片手で注げるよう取っ手が付いてます。この取っ手は真鍮の二重構造で出来ており、軽量で持ちやすく使い込むほど手に馴染むとのこと。
長いハンギングハンドルはトライポッドなどに吊るしやすく、蓋付きの注ぎ口は煤や灰の侵入を防ぐ役割と湯切りのコントロールがしやすい役割を持ちます。
筆者はエニーケトルと似た形状のUNIFLAMEキャンプケトルを所有していますが、この注ぎ口は確かに便利です。
グランマコッパーケトルに比べ、より焚火での使用に特化したケトルですが、使い勝手が良いので自宅での使用にも向いています。
因みに銅製ケトルのデメリットは値段が高い事と、メンテナンスがやや面倒な事ですが、自宅とキャンプで使うという今回のコンセプトでは最適解かもしれませんね。
アルミ製ケトル
アルミ製のケトルも熱伝導率が高い金属合金の素材です。
アルミはとても軽く、使い勝手がとても良いですよね。
そして比較的安価なものが多いので財布に優しく、焚火でもガシガシ使えると思います。
デメリットはその素材の軟らかさ故、変形しやすいことがデメリットですが、アウトドアでの使用に耐えられる加工が施されているケトルもあります。
ということで、先ずはキャンプファイヤーケトルで有名なイーグルプロダクツから
イーグルプロダクツのケトルといえば、焚き火の使用に特化したステンレス製のケトルですが、これは軽くてお洒落なアルミ製ケトルとなります。
容量1.4Lでこれが満水なのか適正容量なのか不明ですが、2~3人用と明記してあるので恐らく最低でも1Lのお湯を沸かすことができるのでしょう。
アルミニウム素材にアルマイト処理をしているので耐摩耗性にも優れ、アウトドアの使用にも十分耐えられます。
持ち手にラバーカバーが付いており火傷防止になっていますが、焚き火で使用する場合は溶けてしまう恐れがありますね…画像にある小さめのウッドストーブなどで使用するのが良さそうです。
続いてキャプテンスタッグのアルミ製ケトル
鹿番長のアルミ製ケトルは硬質アルマイト加工が施されており、耐久性と見た目の良さを両立させてます。
満水容量1.5Lで適正容量は1.1Lです
ステンレス製の持ち手にシリコーンカバーが付いているので普段の湯沸しなら素手で持てそうですが、焚き火ではどうでしょうか…先ほどのラバーカバーも同様ですが、シリコーンが溶けてしまいそうなら切り外してしまえばいいですね笑
続いてご紹介するケトルは誰もが一度は見たことがあるだろう”やかん”です。
石油ストーブにやかんといえば昔ながらのアルミ製のやかんですが、このケトルは造幣局に収める1円硬貨の円形製造を行う企業アカオアルミ製のケトルです。もちろん日本製
高品質のアルミ素材にシュウ酸アルマイト加工が施されています。
持ち手はフェノール樹脂という耐熱性、難燃性に優れた素材です。
コンロや石油ストーブでの使用は全く問題ないのですが、やかんの持ち手まで届くぐらいの炎での使用は控えましょう
もちろん焚火の炎が持ち手まで届くとは思えませんが、フェノール樹脂は溶け出すと人体に有害な物質であるため注意が必要です。
因みにこの形状のやかんは類似品が数多くありますが、安物は水漏れなどのトラブルがあるそうで…
お値段は少々張りますが、買い替えコストや手間を考えたら最初からホンモノを購入するのも一考です。焚き火での扱いは注意が必要ですが、本物志向の方は是非。
因みに銅やアルミのような熱伝導率の高い素材は総じて蓄熱性は低く、ケトルを熱源から離すとお湯が冷めるのが早いです。
自宅で使う分には余り気にならないのですが、キャンプで使用する場合、ケトル以外にも温めたいものがあるならステンレス魔法瓶などに移してお湯を確保すると良いですよ。
ステンレス製ケトル
熱伝導率が低く、熱が逃げにくい特性を持つステンレスは保温に向いています。
お湯を早く沸かしたい場合は銅製かアルミ製に軍配が上がりますが、石油ストーブでケトルを使うなら保温や加湿でも利用したいところ…
因みにフジカなどでお湯を保温、加湿したい場合は、五徳で火加減を調整します。
さて、熱が逃げにくく高温にも強い(高耐熱性)特性を持つステンレスですが、強度と耐食性も今回の素材で一番優れています。
錆びにくく変形しにくいステンレス製ケトルは屋外で使う素材としては申し分なく、もちろん焚火との相性は抜群です。
筆者はユニフレームのケトルやイーグルケトルを長らく愛用しています。
ステンレス製のケトルはとても頑丈で、煤を落とすなどのメンテナンスも容易にできます。
因みにイーグルケトルのようなメッキ加工がされているケトルなどは重曹での煤落としは極力控えましょう。筆者は重曹漬けにして銅メッキが剥がれてしまいました…
デメリットは熱伝導率が低いので、お湯を沸かすのに時間がかかることと、ケトル自体の重さです。
あと意外と知られていないデメリットがあります。それは熱伝導率が低いことで、お湯が均一に沸騰しないことが原因でカンカン、グラグラと音が鳴ります
屋外なら気にならないのですが、自宅では地味に気になります
沸かし始めはいいとして、加湿目的で湯を沸かし続ける場合は結構耳障りなんですよね…
もちろん解決方法はあるのですが、それはまた別の記事にでも…
ということで、ステンレスのデメリットはいくつかありますが、使用目的に焚火が加わるならメリットのほうが大きいのではないでしょうか
焚き火ケトルの代名詞 イーグルプロダクツのキャンプファイヤーケトル
このケトルは3サイズあり、筆者は0.7Lをソロ用に所有しています。厚目のステンレス製ですが、平たい形状とボトム部分に銅メッキ加工が施されているのでお湯を早く沸かすことができます。
今回はご紹介するのは2∼3人用によさそうな1,5Lです
続いてフィンランドのメーカー MUURIKKA/ムーリッカのキャンプファイアケトル
グリドルパンやフライパンでお馴染みのムーリッカですが、ケトルも焚き火に特化していてめちゃめちゃカッコいいです。
1.5Lと3Lがありますが、適正容量は明記されていません…イーグルプロダクツもそうですが、そもそも焚火で使うケトルなので吹きこぼれなんて気にしないのでしょう
続いて変わり種のケトル
インドのヤカンです。路上のチャイ屋さんが使うヤカンだそうです。
容量などの詳細は記載されていませんが、2L程度だそうです。
かなり肉厚なステンレスで出来ており、路上でのハードな使用に耐えられるよう頑丈な作りになっているのでしょう
焚火の中に放り込んでも大丈夫そうですね。
人と被りたくない珍しいものが好きな方は是非
続いてベルモントのファイヤースクエアケトル
筆者が一番気になっているステンレス製ケトルです。
満水容量2.8L 使用容量2.5L以下
イーグルケトルに似た形状で石油ストーブの上でも安定感抜群です。
焚火での使用を想定した作りなので持ち手の形状はフックや枝に引っ掛けやすく、注ぎ口にフタが付いていることで焚火の灰やゴミが入らないのも◎
四角く平らな形状は収納しやすく、持ち運びも容易でしょう。
1.6L(使用容量1.1L)もあります
ホーロー製ケトル
ホーロー(琺瑯)は金属の表面にガラス質の釉薬を焼き付けた素材です。
ケトルなどで使われている琺瑯は鉄琺瑯で、錆びやすい性質を持つ鉄をガラス質でコーティング(接着)しているので、完全ではないものの錆びない鉄製ケトルといっても過言ではないでしょう。
ガラス質は着色ができるので、様々な色合いのケトルがあるのも特徴です。更に鉄は加工しやすいので、様々な形状のケトルがあります。
先ずはミュンダー社のホーローケトル ドイツ製で中々歴史のあるメーカーです。
ポテっとしていて愛らしいデザインですね。ホーローの光沢がとても美しいケトルです
フジカの上に置いてみたいです。
容量1.7Lと記載されていますが、満水容量か適正容量かは不明です。
続いてファイアーサイド社のホーローケトル
グランマーコッパーケトルなどの銅製ケトルが有名なファイアーサイド社ですが、ホーローケトルも出しています。
満水容量2.3L 適正容量1.6L カラーは4色あり、ブラックとブラウンは光沢のないマット仕上げです。
画像を見ると光沢があるように見えますが実物はしっかりマットですよ。
というのもこのケトルは筆者が自宅で使っているケトルなのです。冬場はいつもフジカの上に乗せていますが、キャンプでは使ってません。
公式サイトで焚火では使用できないと記載してあります。
ホーローケトルは石油ストーブの上に乗せるには最高のケトルなのですが焚火での使用ができないものが多いので注意が必要です。
※石油ストーブでの使用を禁止にしているメーカーもあります。
しかしアウトドアブランドのホーロー製ケトルの中には傷や欠けなどに強いものもあります。
GSI OUTDOORSの10カップティーケトル(アメリカ製)
クラシックなホーロー製品を得意とする日本でも馴染みのあるメーカーですね。
GSI OUTDOORSのホーローは窯焼きで700℃以上の熱処理を2回行い、アウトドアの使用を想定し頑丈に仕上げているのが特徴です。
レトロでかわいいデザインですが、ホーローケトルでは珍しく焚き火の上に吊るすことを売りにしているので使い勝手が良いですね。
しかしながらGSIの国内総代理店では取り扱いがなく、個人輸入か並行輸入業者から購入するしかありません。
因みにamazon.comで調べたところ7000円程度(送料込)で購入できそうですが、蓋が外れやすいとのコメントが多数ありました…ご参考にまで。
石油ストーブや焚火に適したヤカンの形状
ヤカンには様々な形状がありますが、熱が当たる面積が広いほど早くお湯が沸けます。
つまり同じ容量のケトルなら縦長より横長…底面の広い形状のほうが熱効率がよいので早くお湯を沸かすことができます。
先ほどご紹介したユニフレーム(縦長)とイーグルプロダクツのケトル(横広)の形状を見れば分かりやすいと思います。
そして縦長のケトルはストーブの上に置いた場合、転倒の恐れもあるので、お子様やペットのいるご家庭では、できるだけ平たいのケトルを使ったほうがいいでしょう
ケトルの形状以外にも持ち手(取っ手)の形状や材質も多種多様です。
焚火で使用する場合、吊り下げ式で持ち手が凸状の物がトライポッドなどのフックや木に引っ掛けることができて便利です。
持ち手の材質はケトル本体と同じものと別の材質のもの、耐熱、難燃素材のカバーが付いているものがあります。
家庭用のケトルの持ち手は木やシリコンなどの熱が伝わりにくい材質で素手で握っても火傷し難い工夫がされていますが、石油ストーブでお湯を沸かす場合はかなり熱くなるので注意が必要です。
焚火で使用する場合は炎の加減によりますが、持ち手部分が木やシリコンだと焦げたり溶けたりしてしまう恐れがあるので、なるべく持ち手も同素材の物か金属製の物が良いでしょう。
さいごに
今回は自宅でもキャンプ(石油ストーブや焚き火)でも一つのケトルで済ましてしまおうという企画でしたが、良さそうなケトルは見つかったでしょうか?
筆者は銅製のケトルが欲しくてこの記事を執筆したのですが、書いていくうちにステンレス製のケトルが欲しくなってしまいました。
今回ご紹介したケトルはただのケトルではなく、焚火での使用も想定したものですが、火力のコントロールに慣れていない焚火初心者の方はステンレス製のケトルお勧めします。
尚、ヤカンを乗せてはいけないと明記してある石油ストーブメーカーもあるそうなので、使っている石油ストーブの注意書き等で確認して下さい。
ホーローケトルにつきましても石油ストーブに乗せることを禁止にしているメーカー(富士ホーロー)があるので購入前に確認して下さい。
ホーローに限らず吹きこぼれで起こるストーブの不完全燃焼や、空焚きなどのトラブルは石油ストーブを使用するユーザー側の問題です。
直火を使う以上、細心の注意を払う必要があります。
では、安全に愉しく湯沸しライフを満喫しましょう
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