最強ULペグとコスパ最強ULペグ 考察①

Stakes-ペグ

前回のソロキャンプでペグが折れてしまい 改めて…というより真面目に軽量ペグを考察しました

今回折れたペグはイーストン社製のバックパッカー8.5 ソロテントのメインペグです。

A7075 超超ジュラルミンの中空ペグ

22.5cmで直径8.6cmと、そもそも軽量のソロテントに使うには大ぶりですが、1本13gと軽くお気に入りのペグです。

下穴があっても折れてしまったので元々何らかのダメージがあったペグと思われますが、高級ペグか折れる心も折れます

なのでメインペグはなるべく安く、でも簡単に折れたり曲がったりしない物にして、メインペグでは太刀打ちできない場面では軽量で強靭な下穴用ペグに頼ろうと考えました。

今回はかなりマニアックな内容なので結論から先に申し上げます

UL(ウルトラライト)の最強ペグは64チタン合金のペグです(持論)

結論は以上ですが、最強ペグをメインペグにしようという話ではありません

理由は3つ

  • 複数本揃えないといけない(コスト面)
  • ペグは紛失のリスクが高い道具である
  • 使い勝手が悪い

最強と呼ばれるに相応しいペグはお値段もなかなか…

メインペグとなると複数本揃えないといけないので、お値段は跳ね上がります。

更にロストする可能性も高い道具です。

使い勝手については後述しますが、この使い勝手が一番大事なことです。

さて、ここからが本題です。紆余曲折した結果、メインペグと下穴用ペグの現在考え得るベストの組み合わせができました。

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下穴用ペグ

「下穴用のペグなぞ必要ない。ペグが刺さらければそこら辺の石でいいじゃない」とおっしゃる方もいると思いますが、適当な石が無い場合も実際にあります

今まで使っていた下穴用のペグはUNIFLAMEのパワーペグSUS300です。ステンレス製で長さ30cm

このペグは下穴用に購入したのではなく、ファミリーキャンプのタープ用に使っているペグです。

パワーペグSUS300の直径は7mm、イーストンペグの直径が8mmなので下穴用に丁度いい事と、鍛造ペグより強靭でいて軽量なこと、

更にファミリーキャンプと共用できる点でソロキャンプでイーストンペグを使う時には必ず下穴用として持って行ってました。

長いのよねー

しかし鍛造ペグより軽量とはいえ一本100gと重く、更に30cmという長さは持ち運びに不便というのが今回の変更理由です。

因みにパワーペグSUS200という短いペグもあるのですが、一本70gもありステンレス製のペグはやはり重いという結論。

ならば同メーカーのジュラパワー200はどうか…

アルミ合金の中で最高クラスの硬度と強度を持つA7075/超超ジュラルミンのペグです。

比強度はステンレス(SUS304)より優れていますが、強度(硬度)はステンレス(SUS304)に及びません。

ULペグを考察する上で比強度はとても大事な要素ですが、比強度だけでは素材の強さは計れません。

超超ジュラルミンペグは軽く強度もありますが、下穴という用途で使うには硬度も重要であり、やや不向きということが分かりました

一本17gと軽いのですが、6本セットでしか売ってないのもマイナスです…下穴用に購入するのに6本は要らないのです。

そこで前々から良さそうだと思っていたチタン合金を突き詰めて調べることにしました。

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チタン合金の特性

まず触れておきたい点が一つあります。

登山やキャンプで使われるクッカーやカトラリーの素材は純チタン製で、筆者がULペグで最強と言っている素材はチタン合金です。

アルミとアルミ合金が違うように、チタン(純チタン)とチタン合金も別物です。

純チタンは軽くて高強度の素材ですが、強度という意味ではステンレスの方が上です

チタンとステンレスはどちらも高い強度を持っていますが、基本的にはステンレスの方が強度が高いです。しかし、高温の場合はチタンの方が強度が高くなります。耐力については、純チタンとステンレスでほとんど違いはありません。一方で、ヤング率に関してはステンレスの約半分の値を示します。硬度についてはステンレスの方が高く、チタンは傷がつきやすいです。

一般財団法人 日本チタン協会

高温下ではチタンの方が強度が高くなるとのことですが、高温とは猛暑日程度のレベルではなく、恐らく何百℃…500℃以上の高温ではないかと推測します。

つまり超超ジュラルミンと同じく比強度以外ではステンレスに劣るということです。

さて、強いとか最強とか言葉では簡単に言えますが、金属の強さとは一体何か…実は強さには様々な測定方法があります。

引用元:一般財団法人 日本チタン協会

因みにこの表には載ってないA7075 超超ジュラルミンはどうでしょう

引張強さが570N/㎟、耐力が505N/㎟ で、ブリネル硬さ(10/500)HBS:150であり、純チタンやステンレス(SUS304)と比べるとULペグにおける強さという指標では超超ジュラルミンは総合的に優れていることが分かりました。

※単位がN/㎟ (ニュートンパー平方ミリメートル)となっていますが、N/㎟=MPa(メガパスカル)なで、数値をそのまま当てはめることができます。

※面倒くさいのでブリネル硬さ≒ビッカース硬さとしています。

勿論この表が強さの全てではありません。耐食性や耐摩耗性、耐熱性や低温脆性など…強さの指標は様々です

その中でULペグに必要な強さとはビッカース硬さ、比強度、引張強、耐力と筆者は考えます。

ビッカース硬さは素材の硬度で、石やハンマーで打ち込んだ時にペグがヘタらない強さです

比強度とは軽い割に強い素材(金属)ということでULペグの重要な条件となります。

引張強さと耐力とは凄く簡単に言うと数値が高いほど折れたり曲ったりし難いということで、これもペグに必要な強さです。

つまり硬度が高いから最強というわけではなく、靭性(粘り強さ)がなければ衝撃などであっさり折れてしまうという可能性があるということです。

※ヤング率も値が大きいほど変形し難いという剛性の目安になりますが、今回はULペグにおける強さの指標から外しています。

ULペグを考察する上で、この表を見て理解すべき点は、チタン合金はビッカース硬さ、比強度、引張強さ、耐力と全てにおいてステンレス(SUS304)より優れていることです。

純チタンも種類があるのですが、この表における純チタンとの比較でも比強度以外はチタン合金の方が優れている事が分かりました。

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64(ロクヨン)チタン/チタニウム合金Gr5

チタン合金(チタニウム合金)にはいくつかの種類があります。

チタン合金ならば何でもいい訳ではなく、64(ロクヨン)チタンと呼ばれているものがULペグに適したチタン合金です。

JIS規格でTi-6AL-4Vと表記されていて、質量分率でアルミ(Al)が6%、バナジウム(V)が4%含まれていることを意味しています。この6%と4%が64チタンと言われる由来です。

この64チタンはチタン合金中最も機械的強度が高く、航空機、電子部品、医療関係に広く使われています。これが最強と云われる所以です。

素材は64チタンに決まりましたが、どんな形状が良いか…

下穴という用途ならば摩擦係数の小さい釘のような形状が向いてます

Amazonなどでチタン合金ペグを検索すると出てきますよね

番外編…コチラは鍛造ペグで有名なエリッゼステークの64チタンのペグ

形状が似ていたので載せてみましたが、大型のシェルターなどに使うのでしょうか…軽量かつ強靭で、値段は重量級です…一本もロストしたくないですね。

以上を踏まえて筆者が選んだ下穴用のペグはこちらです。

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FREELIGHT/Ultra Light Nail Peg

下穴用のペグは64チタンのネイルペグに決定していましたので後は信頼できるメーカーを選べば良かっただけでした…まぁこのペグは安くないので購入するまでに時間が掛かりましたが

以前は純チタンを使っていましたが、チタニウム合金 Gr5に変更して強度が向上しています。

このチタニウム合金Gr.5とは、ASTM B348 Gr.5であり、JIS規格とは別の規格(ASTM規格)の名称です。

つまりチタニウム合金Gr5は64チタンと同じものということですね。

筆者は下穴用に購入しましたが、メインペグが曲ったり紛失した場合のスペアにもなります。

と言うことで今回は下穴用のペグを考察しました。次回はメインペグです

下穴用と違い、複数本揃えないといけないのでコスパに優れ、且つ強度のあるペグを考察します。

では

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